fauna & flora: クラウン・キリー (Pseudepiplatys annulatus) の飼育繁殖 3/2
クラウンキリーの稚魚
全長約4mm。
背景にあるのはアマゾンフロッグピット。右上はTetra水槽のブランドロゴシール。Tの下半分が見えます。これが約4mm。
main水槽から回収直後の稚魚。ガラス面に張り付いて殆ど泳がないので孵化から間もないと思われ。
周辺に写っているケンミジンコ幼生と比較しても、相当小さい餌が必要なサイズの稚魚であることがわかる。
クラウンキリー繁殖の結果
main水槽から回収した卵は、スポンジフィルター上で確認した数個であった。浮草につけてみたが孵化できたか不明。
main水槽から回収した稚魚は12匹。成魚まで成長できた稚魚は11匹。生存率はかなり高い。
性比は、オス3匹: メス8匹。
考察
当初60cmスリム水槽(30L)単独で、クラウンキリーおよびレッドチェリーシュリンプの自然繁殖および生育を目論みましたが、やはり単独の水槽では困難です。
要因は幾つか列挙できます。
1. 卵が小さい。sizeは日本メダカ>トビッコ(寿司ネタ)>クラウンキリーの卵>スケソウダラの卵
つまり目視での回収は困難。
2. 卵を産み付ける場所がバラバラ。
Aphyosemion類は、およそスポンジフィルターが多かったが、本種はバラバラ、
3. 親魚は、躊躇なく稚魚を捕食する。
稚魚の縞模様が明確になる8mm以上に成長すると親と混泳しても問題ないようです。
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繁殖の記録
繁殖計画のアウトライン
過去に卵生メダカ繁殖の経験があるので当初は以下のような繁殖計画の概要を想定した(途中で修正もしましたが)。
クラウンキリーの繁殖で一番のネックは、稚魚への給餌でしょう。
このサイズの稚魚はブラインシュリンプは摂食できず、ミドリムシ、ゾウリムシ等インフゾリアサイズの餌が必要らしいが、これは面倒なので他の手段を考えた。
人工的な給餌を行わず、30cm水槽内で発生している微生物を餌として生育を行うこととした。
30cm水槽は、60cm main水槽導入前に使用していたもの。
肉眼的観察ではカイミジンコ、ケンミジンコが相当量自然発生している。
特記すべきこととして、おそらくケンミジンコ成体より、かなり小さなケンミジンコ幼生が多数観察されること。
おそらくブラインシュリンプを摂食できないサイズの稚魚でも十分摂食できるだろうと推定した。
この想定した時点ではまだ稚魚は確保していおらず、レッドチェリーシュリンプ繁殖サブタンクとして使用していた。稚エビもいるのでAT-20給水部にはTetra ビリースポンジフィルタを取り付けた。
端的に述べると水槽を立ち上げて2ヶ月程放置しておけばよいわけです。
稚魚の確保
Aphosemion属メダカの経験から、水槽から卵を回収し産卵ケースで付加させる予定でしたがうまく行きません。
Aphosemion属メダカの場合、吸水口に取り付けたスポンジフィルター、浮草のリシア、水底清掃時に卵を回収できたのですがクラウンキリーではその手法はあまり有効ではありませんでした。
おそらく卵のサイズがAphosemion属メダカに比較して小さいためかでしょう。
スポンジフィルターに産み付けられた卵を確すると相当小さいです。
つまり従前の方法が使えない。困ったものだと思っていたら、、
自然孵化しているようです。受精卵回収が困難なので、この方法でもよいかと。
浮草を回収シェルターとして使うならサルビニア・ククラータより隠れる場所の多いリシアの方がいいかも。
他の稚魚回収方法はこれ。
水換えの排水を廃棄前によく観察する必要があります。
数量的にはこの排水中から回収した稚魚、稚エビが殆ど。
あと夜中に照明を点灯すると結構ガラス壁面に張り付いている稚エビ、稚魚が見つかります。
もちろんスポイトで回収しますが、若干粗暴な方法ですが殆ど稚エビ、稚魚にダメージはないようです。
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クラウン・キリー (Pseudepiplatys annulatus) の飼育
クラウンキリーとシュリンプが繁殖する環境を作ってみました。そのメモランダム。
summary
小さい(オス 30mm前後)。これ以上小さい観賞魚はかなり限られる。
入手可能な西アフリカ産メダカ。他のアフリカ産メダカは入手は難しい。
繁殖難度は高くない。だが大量に殖えることもないと思う。
シュリンプに致死的な攻撃をすることはない。うちで観察する限りは。
丈夫。水温30-18℃で飼育上問題はなかった。
人見知りをしない。これは重要。
飼育環境諸元
main水槽: 60x30x21cm 無加温19-30℃ Tetra AT50濾過器
sub水槽: 30x23x20cm 稚魚飼育 無加温 18-30cm Tetra AT20濾過器
水草: ボルビティス、ミクロソリウム、アマゾンフロッグピット、オオサンショウモ、リシア
底砂: ハイドロボールもしくProtoleaf サイフォン
照明条件: 西南西向き出窓、6W LED照明
同居生体: レッドチェリーシュリンプ、オトシンクルス・アフィニス
Main tankの現在の様子
稚魚、稚エビの生存のためには若干水草が少ない。
ヒドラの侵入がなければ良しとしよう。
ヒドラが侵入した環境だと、クラウンキリーの稚魚が育たないでしょう。
稚魚はその程度のサイズですので。
なおクラウンキリーの育成はmain tankではなく、sub tankで行います。
左側のペットボトルは水底清掃兼稚エビ稚魚回収デバイス。クラウンキリー購入時の注意点
オス個体は、胸鰭先端がフィラメント状に伸びるものと伸びないものが認められる。
伸びる個体の方が見栄えがいいのは明らか。
個体の遺伝的形質の違いか、成長による形態変化なのかは定かではない。
ボスオスほど胸鰭先端がフィラメント状に伸びているように見える。個人的な考察ですが。
当然店頭で購入する際はこのようなオス個体がよろしいでしょう。
クラウンキリー個体間の協調性
まずクラウンキリーはカダヤシ目であり、日本のメダカ(Oryzias latipes)はダツ目で分類学上かなり離れている。つまり日本のメダカに想定期待される性質とはなかり異なる。
類似しているのは小型魚類としては孵化までの日数が長く、比較的稚魚が大きいことくらい。
まず
群で行動しない。
個体同士で雌雄問わず争う。特に二次性徴が明確になったオスの場合に死亡例も発生するほど。
個体間の闘争は羽化後2-3週の稚魚間でガンを飛ばす程度の行動が観察される。
つまり間違ってもアフリカンランプアイもしくはメダカのように水槽内で仲良く群で行動することはない、
具体例として自分は30L水槽に雌雄3ペアを導入したが2-3日のうちにオス1例が所在不明になった。
公立中学二年生の教室を想像すれば解りやすいでしょう。
導入するなら30L以下のベアタンク水槽ならオス1 メス2匹程度が安全でしょう。
今日現在のボス。水槽で最もよいregionを専有する。胸鰭先端フィラメントは伸長している。
同居生体間の協調性
レッドチェリーシュリンプ稚エビがクラウン・キリーに捕食されることがある。
まあ口に入るサイズだと当然でしょう。
オトシンクルス、シュリンプ成体との相性は大きな問題はない。
fauna & flora: Aquarium general ブランド・ロイヤリティ0
誰でも何かしらの分野でブランド志向はあるでしょう。
自転車を弄くり回すためか、自転車整備に使う工具はKTC、ホーザン、シマノ、Vessel等が多いです。
それらを使うとネジ穴やナットにドライバやソケットが非常に気持ちよく決まります(そんな気がします)。
アクアリウム関連では、ブランド ロイヤリティを感じるところは非常に少ないです。
Tetraが確かワーナー・ランバートの関連会社。20世紀末の医薬品業界の再編を知っている方には懐かしい社名です。若干信頼を感じる素地はあります。
アクアリウム関連ではTetra以外、ehiem等にいくらかブランド ロイヤリティを感じますが、他はどうでしょうか。
ということでアクアリウム関連ブランドに関係せず選び使用しているものの列記。
ピンセットおよびその代替品
ピンセットに拘泥するのは医療関係および生物系研究職でしょう。
もちろん日常ピンセットを使うが、水槽レイアウトのため長いピンセットが便利。
さすがにピンセットでブランド・ロイヤリティを問われてわからないので周囲にあるもので長いピンセット代替品を探し実用性検討をおこなった。
ロングピンセット
まずこれ
BBQトング 28cm、 菜箸 30.5cm。 出自は不明だが、100均で購入可能なクオリティ。
菜箸
問題として大きいのは、水槽中で何かを掴むのは不可能であること。実用性なし。
BBQトング
後日amazonでロングタイプのピンセットを購入したが、どうにか実用性はある。但し素材が軟らか過ぎでしっかり掴めない場合が気になる。
BBQトング by Captain stag(パール金属)
ホームセンターのBBQコーナーで購入。
水草を活着させた石等のある程度の重量物でもしっかり掴まえます。
但し大きい、水切れが悪い。
実用性継続検討。
Amazonで購入したピンセット made in PRC
同様のロングピンセットがペットショップで、Anex ブランドのロングピンセットがホームセンターで販売されているのは知っている。圧倒的価格差のため made in PRCのピンセットを購入した。
若干エッジにバリがあったが十分実用性があり良い買い物でした。
ロングピンセットに関する中間考察
ロングピンセットがあればmaintenaceは楽になりますが、全水草を活着して管理しているのでさほどにロングピンセットが活躍することがありません。どちらかといえばミクロソリウムやボルビテイスを活着させた石を移動、水槽外にサルベージするデバイスがほしいところです。これは弾性のあるロングピンセットの利用域とは若干違います。
手という超高度制御可能マニュピレーターを水槽に突っ込めばいい訳ですが。それは迂回したい。
昔なにかデバイスを使った記憶があるが思い出せませんでした。
坩堝ハサミ。鉗子ではありません。
これでしょう。日常生活では、全く必要が無いと思います。
アマゾンで購入、¥600 Made in PRC。
石に活着させたミクロソリウム。ロングピンセットでは安心できない作業です。
この2つがあれば十分。
通常サイズのピンセットは手持ちではIPS craft製のが優秀でした。
fauna & flora: Aquarium general0 信号は黒になりました 2
検疫に用いる薬剤の基礎的検討をしてみました。
新たに水草等を購入したとき、検疫タンクでの肉眼的観察以外にこちらから打って出る対策があれば望ましいと考えたからです。
そういえば以前シアノバクテリア対策で購入したオキシドール(過酸化水素 3% w/v)がありますのでそれで検討します。
幸いヒドラおよびカワコザラガイの侵入は確認されないので、
検疫での排除対象はミズミミズおよび正体不明の2-4mm程度の白い扁形動物となります。
なおカイミジンコおよびケンミジンコは当方では益虫扱いですが不快生物であるとの見解もありますので観察対象にします。
Materials
reagent: 過酸化水素 (便宜上30000ppmとして扱うことにした)
Method
水槽底面から清掃用ギミックで沈殿物ごと約1L程度吸い取る。
10分程度放置すると、謎の扁形動物およびミズミミズはプラケース壁面に付着する。
沈殿物が多すぎる場合、観察しにくいの適宜にスポイトで除去する。
所定量の過酸化水素水を添加し、観察する。もちろん止水条件。
容量設定根拠
将来のメインタンクでの直接的使用も考慮して、環境省の優先評価化学物質のリスク評価(過酸化水素)を参考にした。
ファットヘッドミノー Pimephales promelas 4日間観察 LC50 16.4mg/L
意味は、4時間以内に半数のミノーが死亡。
報告書を読んだ訳ではないので止水か流水条件か不明だが、ベアタンクであると考えられる。
恐らく過酸化水素の毒性が最大限発揮される条件でしょう。
この濃度(約16ppm)を参考にした。
Result
2000倍希釈 過酸化水素 15ppm 室温
添加後1時間の観察:
- 謎の扁形動物: ほとんど死亡。
- ミズミミズ: 動きが緩慢になるが、おそらく殆どは死亡に至らないみたい。
- カイミジンコおよびケンミジンコ: 全く死亡しない。
せっかくなので上記試験系に30ppmになるように過酸化水素を追加添加した。
1000倍希釈 過酸化水素 30ppm 室温
添加後1時間+追加2時間目の観察:
- 謎の扁形動物: ほとんど死亡。
- ミズミミズ: おそらく殆ど死亡したみたい。
- カイミジンコおよびケンミジンコ: 全く死亡しない。
さらに中和処理しない水道水を満たしたプラケース中でミクロソリウムを洗浄し、供試生物としてミズミミズを得たので30ppmになるように過酸化水素を添加した。
添加後1時間観察ではミズミミズの動きが抑制されたが死亡例は少なかった。
3時間後観察では全例死亡した。
考察
過酸化水素 1000倍希釈 (30ppm)、3時間でミズミミズおよび謎の扁形動物は殆ど死亡。
観察期間1日なら2000倍希釈でも可能かも。
効果にばらつきはあるが、どうも底面の沈殿有機物の量によるみたい。
カイミジンコおよびケンミジンコは1000倍でも死亡しないが、逆にそれらが必要な方には有用な検疫方法かもしれない。
なお過酸化水素添加などの面倒なことをしなくとも、水道水(もちろん塩素中和処理はしない)でも
1000倍希釈と同等の結果になるようです。これが最も簡便な方法でしょう。